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更年期の基礎知識(男性編)

目次

1. 男性の更年期とは?

男性の更年期(加齢男性性腺機能低下症候群:LOH症候群)とは、加齢に伴う男性ホルモン(テストステロン)の低下により、身体的・精神的な不調が現れる時期のことを指します。

  • 40代以降、特に50代~60代以降、テストステロンの減少が顕著になります。
  • 女性の更年期とは異なり、ホルモンの変化は緩やかに進行するため、症状が徐々に現れることが特徴です。
  • テストステロンの減少は個人差が大きく、ストレスや生活習慣の影響も受けるため、全ての男性に同じ症状が出るわけではありません。

男性更年期の診断はテストステロンの値のみではなく、その症状や生活や仕事の障害の程度などを含めて総合的に診断されます。したがって医師の診断を受けることが大変重要になります。特にセルフケアにて改善が乏しい場合には、自己判断をすることなく確実な医師の診断を受けることが重要です。


2. なぜ男性の更年期が起こるのか?

(1)テストステロンの役割とその低下

テストステロン(男性ホルモン)は、男性の身体機能や精神状態を維持する重要なホルモンです。

🔹 テストステロンの主な役割

  • 筋力・骨密度の維持
  • 集中力・判断力の向上
  • 性欲・精力の維持
  • 気分の安定・ストレス耐性の向上

加齢とともにテストステロンの分泌が低下すると、体力や気力の減退、ストレスへの耐性低下、集中力の低下などの症状が現れます。

(2)ストレスと生活習慣が影響を与える

  • テストステロンの低下は、仕事や家庭のストレス、不規則な生活、運動不足などによって加速することが分かっています。
  • 特に過労、睡眠不足、過度な飲酒、喫煙、肥満などは、テストステロンの減少を早める要因となります。
  • そのため、男性の更年期は単なる加齢の問題ではなく、生活習慣の影響を強く受けるのが特徴です。

3. 男性更年期の主な症状

男性の更年期症状は、身体的なもの、精神的なもの、性機能に関わるものに分けられます

(1)身体的な症状

  • 疲れやすい・倦怠感(十分に休んでも疲れが取れない)
  • 筋力低下(体がだるく、運動するのが億劫になる)
  • 関節や筋肉の痛み(特に腰痛や肩こり)
  • ほてり・多汗・動悸(急に暑くなったり、汗をかきやすくなる)
  • 睡眠障害(寝つきが悪い、途中で目が覚める、眠りが浅い)

(2)精神的な症状

  • イライラしやすい・怒りっぽい
  • 気分の落ち込み・抑うつ感(以前よりも気分が晴れない)
  • 不安感・焦燥感(漠然とした不安を感じる)
  • 集中力・記憶力の低下(仕事のミスが増える、判断力が鈍る)

(3)性機能の変化

  • 性欲の低下(以前ほど興味がなくなる)
  • 勃起不全(ED)(満足のいく勃起が得られない)
  • 精力・活力の減退(全体的なやる気や活力がなくなる)

これらの症状が複数重なると、仕事や家庭生活に大きな影響を与えることがあります。


4. 男性更年期に関連する健康リスク

テストステロンが低下すると、以下のような健康リスクが高まります。

🟡 メタボリックシンドローム・肥満

  • テストステロンの減少は、筋肉量の減少と脂肪の増加を引き起こし、内臓脂肪が蓄積しやすくなる。

🟡 動脈硬化・心血管疾患

  • テストステロンには血管を保護する働きがあり、減少すると動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まる。

🟡 骨粗しょう症

  • 男性も更年期以降に骨密度が低下し、骨折しやすくなるため注意が必要。「要確認」

🟡 認知機能の低下

  • テストステロンは脳の機能にも影響を与えるため、記憶力や判断力の低下が起こる可能性がある。

5. 男性更年期を乗り越えるための対策

(1)生活習慣の改善

適度な運動(筋トレ、ウォーキング、有酸素運動)でテストステロンを維持する。
バランスの良い食事
良質な睡眠を確保する(夜更かしを避け、睡眠の質を高める)。

(2)ストレス管理

リラックスできる趣味や時間を持つ
必要に応じてカウンセリングや心理療法を受ける

(3)医療的な対応

上記のような生活習慣の改善やストレス管理で改善しないケースも多くみられます。そのような場合にはできるだけ早めに医師の診断・治療を受けることで改善がみられます。
テストステロン補充療法(TRT):医師の指導のもと、ホルモン補充を行う。
漢方薬や抗不安薬の活用:症状に合わせた治療法を選択。
専門外来等で相談し、適切な治療を受ける。


6. まとめ

  • 男性の更年期はすべての男性に訪れるが、個人差が大きい
  • テストステロンの低下によって、身体的・精神的な不調、性機能の変化が現れる
  • 生活習慣の改善で改善が見られない場合、適切な医療受診で症状を軽減し、快適に過ごすことが可能

更年期は「終わり」ではなく、新たなライフステージへの移行期です。
自分の変化に気づき、前向きに対策をとりながら、健康的に乗り越えましょう!

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