中小企業の産業保健に関する研究(立石班)

 中小企業において、両立支援を実践することはなかなか容易ではありません。その理由として①専門人材の不足から対応方法がよくわからないこと、②事業規模が小さく配慮の余地が小さく対応が困難であること、③そもそも両立支援を実践するメリットがわかりづらいこと、などが挙げられます。中小企業での両立支援は事業者として無理のない対応をすることが重要です。また、専門人材がいないことから治療を受けている医療機関のサポートも重要で、医療機関での両立支援の展開も期待されています。このページでは、厚生労働科学研究において、これら解決のヒントについて、いくつか提案しています。

目次

事業者が両立支援を実践するための対応ヒント

両立支援アクションチェックリスト(事業者編)

両立支援アクションチェックリスト
両立支援アクションチェックリスト解説版

中小企業では、両立支援で必要とされているすべての項目を実施することは、人的・予算的な観点から困難であることが多いです。無理な対応をすると、事業そのものに影響が出たり、同僚間でのあつれきにつながることなどもあります。したがって、実践できことからやっていくことが必要になってきます。アクションチェックリストとは、良好事例を参考に作成される両立支援ヒント集です。リストに挙げられているアクションの中から自分たちが無理なく実践できることを探し、両立支援を実践することを目的に作成されたものです。「できることをひとつでもやろう」という加点法的な、ポジティブな考え方で、網羅的に抜けもれなく実践を展開することを期待されるチェックリストとは異なる考え方で設計されています。

企業向け教育動画

両立支援の事例を交えた両立支援の有用性を容易に理解してもらえることを目的に作成された動画です。本研修を受講することで、両立支援の必要性、個別対応方法、制度面での実装などについて、効果があったという研究結果が得られています。

事業場からの相談内容

研究班の実施時期に企業から相談があったことのリストです。中小企業での困難感や、配慮方法の検討について相談が多く寄せられました。

医療機関が両立支援を実践するための対応ヒント

医療機関からの相談内容

医療機関内の組織対応
個別対応の相談

研究班の実施時期に医療機関から相談があったことのリストです。そもそも通常の医療を展開する医療機関で両立支援を実践するときに経営層にどのように理解を求めたらよいか、個別対応で難解事例への方策について相談が多く寄せられました。

平成31年度~令和3年度 厚生労働科学研究補助金(安全衛生総合研究事業)
中小企業等における治療と仕事の両立支援の取り組み促進のための研究(19JA1004)
研究代表者 産業医科大学 立石 清一郎(産業生態科学研究所 災害産業保健センター 教授)

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